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大阪地方裁判所 昭和61年(行ウ)7号 決定

兵庫県加古川市志方町東中一八六番地の一

原告

木村薫

右訴訟代理人弁護士

伊賀興一

矢島正孝

兵庫県加古川市加古川町字木寺五の二

被告

加古川税務署長

門脇利穂

右指定代理人

井口博

足立孝和

福本雄三

黒仁田修

主文

本件を神戸地方裁判所に移送する。

理由

一  被告は、主文同旨の決定を求め、その理由として、被告の所在地は兵庫県加古川市であるから、本件は、神戸地方裁判の管轄に属すると主張する。これに対して原告は、本件を当裁判所で審理することを求め、その理由として、本件で原告が取消を求める被告の処分は、すべて、大阪国税局査察部が、原告に対する国税反則犯容疑によって捜索し、調査した結果に基づいてなされたものであり、従って、本件処分に関し事案の処理に当たった行政機関は大阪国税局であるから、本件訴訟は、行訴法一二条三項に基づき、大阪国税局の所在地の裁判所である当庁の管轄にも属する旨主張する。

二  よって、考えるに、本件訴訟は、被告が原告に対して昭和五七年五月一七日付でした原告の昭和五二年分及び昭和五三年分の所得税の各更正処分のうち、総所得金額が昭和五二年分については金五六五万八〇〇〇円、昭和五三年分については金一〇〇〇万四〇〇〇円をそれぞれ超える部分並びに昭和五二年分及び昭和五三年分の各過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分の取消を求めるものであって、行政庁を被告とする取消訴訟であることは本件記録上明らかである。従って、本件訴訟は、被告の所在地の裁判所の管轄に属する(行訴法一二条一項)ところ、被告の所在地が兵庫県加古川市であることは本件記録上明らかであるから、本件訴訟は、被告の所在地の裁判所である神戸地方裁判所の管轄に属し、当庁の管轄には属しないものというべきである。

なお、原告は、本件訴訟が、行訴法一二条三項に基づき、大阪国税局の所在地の裁判所である当庁の管轄にも属する旨主張するが、大阪国税局が、本件処分の処分庁である被告との関係において同項にいう「下級行政機関」にあたるといえないことは明らかであるから、原告の右主張は採用できない。

三  よって、本件訴訟は当庁の管轄に属しないと認め、行訴法七条、民訴法三〇条一項により本件を神戸地方裁判所に移送することとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 山本矩夫 裁判官 髙橋正 裁判官 植屋伸一)

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